土作り

バーク堆肥について

 

 

「バーク堆肥は、木材工業のチップ生産や木材製材の際に大量に生ずる樹皮(バーク)を主原料として、家畜ふんや少量の化学肥料を加えて堆積し、発熱(高温)醗酵させて完熟させた有機質肥料」

 

「バーク堆肥とは、バーク80% 以上を主原料とし、これに鶏ふ ん、窒素質肥料、発酵促進( 微生物) 剤などを20% 未満混合し、好気性条件下で発熱発 酵させたもの」と定義( 日本バーク堆肥協会)

 

原料バークの化学的成分組成は、 好気性発熱発酵が進むにつれて変化し、 一次発酵 ( 高 温菌)、二次発酵( 中温~ 常温菌) を経過して、堆肥としての機能が十分に高まり、作物 ( 植物) に対する生育阻害作用が解消される。

 

バーク堆肥の基準

有機物含量 70%以上(乾物)

全窒素含量1.2%以上

C/N(炭素率)35%以下

PH5.5-7.5

陽イオン交換量(CEC) 70me/100g以上

含水率 60±5%

 

バークに含まれる有機成分は、分解の難易 によっていくつかのグループに分けられる。もっとも早く分解されるのは、糖、アミノ 酸、有機酸、アルコールなどの比較的分子量の小さいグループ。これよりやや遅れて、 でんぷん、タンニン、ヘミセルロース、タンパクなどの分解が始まる。ヘミセルロース は、でんぷんやセルロースとは異なる多様な多糖類のグループで、セルロースよりは早く分解が始まる。窒素成分の大部分はタンパク態で存在しているが、タンパクの分解に ともなってアミノ態からアンモニア態に変
化し、好気性条件下ではさらに硝酸態に変化 する。タンパクの一部はリグニンと複合体を形成し、樹脂などもとりこんで、土壌改良 機能の中核となる腐植を生成する。

原料バークのpH は 通常は酸性を示すが、フェノール酸などの酸性生育阻害成分が、堆積期間中に分解ある いは流出により減少するので、製品堆肥のpH はほぼ中性に近
くなる

http://www.bark-assoc.jp/pdf/lecture03.pdf

 

バーク堆肥を施用する際は、
①なるべく表層部に(手抜きではなく)
②10%程度(ケチっているのではなく)
③緩効性窒素肥料も一緒に
使用

 

一般的に C/N 比(炭素と
窒素の割合)が 20 以上(炭素が窒素の 20 倍以上)の有機物の場合は、分解の際に土壌中の無機態窒素が微生物に利用されてしまい、植物は窒素飢餓(欠乏)に陥ります。更には微生物による酸素消費と二酸化炭素の放出で嫌気状態となり土壌が還元化し生育障害を起こしている場合が結構あります。ある研究報告ではバーク堆肥の肥効が現れるのは施用後2~3年後からで、さらに10%までは混入量に比例して成長が良くなるが、20%以上になると逆に成長が抑制される。

 

バーク堆肥の使い方

 
1)乾燥させないで、湿ったものを用いてください
2)多量に施す場合は、土になじむまで乾燥しやすいので、しばらく潅水してください
 
施設栽培での標準施用量は
3-5kg/m^2
 
繊維質(リグニン)含有量が40%以上であるため、土づくりの効率が良く
土の排水性・保水性を良くします。
 
バーク堆肥の品質基準であるC/N35 以下、 CEC70 以上に達していれば、 バーク堆肥として十分な熟度になっていると評価できる。

http://www.bark-assoc.jp/pdf/lecture02.pdf

 

 

堆肥、とくにバーク堆肥のような木質系堆肥の土壌改良効果は、緩効・長期持続型で あるため、施用を怠っても、しばらくは土壌の悪化は表面化せず、かなりの年数を経て からようやく地力の低下が明らかになる。 

http://www.bark-assoc.jp/pdf/lecture05.pdf

 
地力すなわち土壌が作物( 植物) を育てる力は、保水性や透水通気性、硬 さなどの物理性、酸度や肥沃度などの化学性、さらに土壌微生物の多様性や活力などの 生物性の三つの要因に支えられるものであるが、これら三つの性質がバランスよくすぐ れていなければ、地力の高いよい土壌にはなれない。 
 
土壌に施された堆肥は、易分解性有機成分の微生物による分解生成物( 養分)によって土壌の化学性を、難分解性有機成分の腐植化によって土壌の物理を、さらに化学性、 物理性の向上に支えられて生物性を向上させるという総合的な土壌改良効果により地力 を向上させるが、堆肥の材料( 主材料と副資材) によって、化学性向上機能にとくにすぐれた肥効型堆肥と、物理性向上機能にとくにすぐれた腐植型堆肥に大別される
 
 
よい土壌の条件
表土と有効土層養分、水分吸収の主役である毛細根は、土壌の表面近くに分布する。毛細根をよく発 達させ、十分な活力を与えるためには、腐植に富む肥沃で膨軟な表土の厚さを30cm 以 上確保したい。
表土は毛細根の発達のために膨軟に保つ必要があり、山中式土壌硬度計の測定値で表 すと、15mm 以下でありたい。また、下層土は主根をしっかり支えるため、ある程度は ち密なほうがよく、 山中式土壌硬度計の測定値で20~25mm 前後がのぞましい。
 
よい化学性
土壌pH はおおむね6~6.5
 
 
よい生物性
土壌中の生物は、土壌動物と微生物に大別される。ミミズ、トビムシ、ダンゴムシな どの土壌動物は土中を動き回って耕し、粗大な有機物を食べて消化し微生物が利用しや すい形にして排泄するなど、よい表土づくりに貢献する。微生物は糸状菌、放線菌、細 菌、藻類、原生動物の5 群に分けられるが、互いに拮抗しつつ共存し、作物( 植物) の 根の活性化や外来病原菌の抑制など、重要な役割を果たしている。
 
 
土壌の改良方法