Portfolio No.3 ハビックス

以前のエントリーで、インバウンド需要の源は極東・東南アジア新興国(韓国・中国・台湾・香港、ASEAN)の国々の中間所得層の急増で、日本の高く品質の高いモノ・サービスを消費できるようになったことだと思うと記しました。

各国の一人当たりGDPは、
$million/capita

シンガポール 560
香港 400
日本 360
韓国 280
台湾 230
マレーシア 110
中国 80
タイ 55
インドネシア 35
フィリピン 28
ベトナム 20
ラオス 17
ミャンマー 12
カンボジア 10

このうち、ラオスシンガポールブルネイ・韓国・香港を除く国々の人口は、
(/1000万人)
インドネシア(2.5)
フィリピン(1.0)
ベトナム(0.9)
タイ(0.7)
ミャンマー(0.5)
マレーシア(0.3)

ユニ・チャームのリサーチによると、一人当たりGDPが3000ドルを超えてくると子供用おむつの普及が一気に進みさらにGDPが高まると、大人用のおむつが普及するとされています。
上記、一人当たりGDPの水準によると、中国やタイでは子供用おむつがすでに普及しており、インドネシアは丁度普及期にあるといえます。8%の経済成長が5年続けば経済規模は1.5倍になりますので、東京オリンピックの時期にはフィリピン・ベトナムラオスあたりで子供用おむつが普及すると考えられ、これだけみても中国10億人、タイ+マレーシア1億人、インドネシア2.5億人、フィリピン+ベトナム2億人がアジアのおむつマーケティング対象国として挙げられます。

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そのような市場環境のなかで、ユニ・チャームは”不織布・吸収体関連事業経営資源を集中”という経営戦略を明確に打ち出しています。

これにより、2014年末時点で5600億水準であった売上高を2020年には1.6兆円にまで拡大させるというかなり意欲的な経営目標を掲げています。

 

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さらに、ユニ・チャームによると、アジア地域においては、生理用品、ベビー用紙オムツの使用率は依然として低く、経済成長に伴い各地において同時多発的に需要が顕在化しているといいます。

 

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紙おむつ需要が急増する環境で、特需の恩恵がありそうなのは、大手では上記のユニ・チャーム花王

また、大王製紙や王子HD といった製紙。また、日本触媒住友精化のような吸収樹脂材料提供会社、瑞光のような専門製造機械、そして、ハビックスや日本バイリーンのような不織布メーカー。

 

なかでも、自分が注目したのは ハビックスという会社。

どういう会社かというと、

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その会社の売上の半分ちかく(数年以内に半分以上に成る)が紙おむつ関連となっている。

 

バランシートをみると、現金及び同等物・売掛-買掛などの流動資産や投資有価証券など、すぐに40億以上はキャッシュ化できそうな内容となっている。一方、時価総額は40億前後とバランスシートからは割安であると思う。

 

また、営業利益+減価償却は10億前後を維持ししており、収益性の観点からみても割安な水準にあるといえる。

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さらに、四季報の販売先部分をみてもわかるとおり、花王ユニ・チャームへの安定供給先が大口顧客が存在しており、将来のおむつ特需の恩恵をニッチは専門分野から得られる銘柄といえよう。

 

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さらに、年度の設備投資計画で

「化合繊不織布を生産する本巣工場の生産能力を増強し、引き続き市場の成長が見込まれる紙オムツ向け製品等の衛生材料分野への販売を積極的に推進してまいります」としており、

本巣工場の設備増強により月次生産能力を300万枚から600万枚に倍増させるとしており、この8月から操業開始するとしている。

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上記設備状況及び設備投資計画額をみても、かなり積極的な設備投資を行っており、本年8-11月までにはフル稼働するとなっている。本年度の業績にはおおよそ、既存設備の稼働率の向上+設備増強効果の半分程度が反映され、来年度は売上が急増することが想定される。

そのハビテック社の1Q(4−6月)の業績が発表されたが、既存設備の稼働率が向上したことだけで大きな業績向上が見受けられた。前年度からの一連の流れをみても、同社はリソースを高付加価値・紙おむつに集中するように販売構成の変更を行ってきており、それにより前年度前半は売上と営業利益が落ち込む状況が見られたが、それも今年度に入って、その効果が業績の向上となって現れ始めたといえる。

2年後には売上が2倍、3倍となってくることを期待したい。

 

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 設備投資額の水準からして、下半期には四半期べースで売上30億、粗利6億、営業利益2億水準までは底上げされると思う。EPS62円以上*PER12-17で 744円から1054円あたりを目標にホールドしたい。

    売上高 q/q 売上原価   粗利 q/q   販管費 営業利益 q/q 販管費 営業利益率
24 1 2,023,138   1,640,775 81.10% 382,363   18.90% 326,109 56,254   16.12% 2.78%
  2 2,091,940 3.40% 1,675,727 80.10% 416,213 8.85% 19.90% 326,176 90,037 60.05% 15.59% 4.30%
  3 2,145,407 2.56% 1,657,105 77.24% 488,302 17.32% 22.76% 337,019 151,283 68.02% 15.71% 7.05%
  4 2,070,612 -3.49% 1,575,867 76.11% 494,745 1.32% 23.89% 327,506 167,239 10.55% 15.82% 8.08%
25 1 2,165,431 4.58% 1,620,402 74.83% 545,029 10.16% 25.17% 353,808 191,221 14.34% 16.34% 8.83%
  2 2,210,905 2.10% 1,647,352 74.51% 563,553 3.40% 25.49% 367,287 196,266 2.64% 16.61% 8.88%
  3 2,269,399 2.65% 1,694,842 74.68% 574,557 1.95% 25.32% 372,105 202,452 3.15% 16.40% 8.92%
  4 2,087,631 -8.01% 1,667,530 79.88% 420,101 -26.88% 20.12% 362,765 57,336 -71.68% 17.38% 2.75%
26 1 2,455,219 17.61% 1,960,047 79.83% 495,172 17.87% 20.17% 375,344 119,828 108.99% 15.29% 4.88%
  2 2,624,174 6.88% 2,120,434 80.80% 503,740 1.73% 19.20% 362,035 141,705 18.26% 13.80% 5.40%
  3 2,729,801 4.03% 2,178,670 79.81% 551,131 9.41% 20.19% 365,900 185,231 30.72% 13.40% 6.79%
  4 2,602,626 -4.66% 2,167,810 83.29% 434,816 -21.10% 16.71% 346,069 88,747 -52.09% 13.30% 3.41%
27 1 2,561,670 -1.57% 2,113,798 82.52% 447,872 3.00% 17.48% 375,541 72,331 -18.50% 14.66% 2.82%
  2 2,621,346 2.33% 2,191,007 83.58% 430,339 -3.91% 16.42% 351,303 79,036 9.27% 13.40% 3.02%
  3 2,883,622 10.01% 2,326,643 80.68% 556,979 29.43% 19.32% 388,892 168,087 112.67% 13.49% 5.83%
  4 2,788,494 -3.30% 2,297,566 82.39% 490,928 -11.86% 17.61% 353,764 137,164 -18.40% 12.69% 4.92%
28 1 2,857,712 2.48% 2,330,307 81.54% 527,405 7.43% 18.46% 384,794 142,611 3.97% 13.47% 4.99%