土作り 耕耘

農作物の生育や品質は、土の良し悪しが大きく影響します。土の良し悪しは、物理性(土そのものの質、土の硬さや深さ・通気性・排水性・保水性など)、化学性(有機物や肥料成分の含量・pHなど)、生物性(土の中の生物の量や状態)によって決まり、農業の生産性と持続性を高めていくためには、これらを適切に維持・管理することが重要です。

耕うんの目的は、固まった土を砕きながら攪拌し、空気を多く含んだふっくらとした状態にすることにあります。ふっくらとした土は空気を多く含んでいるため、生物の活動も活発で、保温性や排水性が良く、かつ、保水性も良くなります。また、土の攪拌と同時に地表の雑草などを土中に取り込むことで、土中の微生物がこれを分解して堆肥となり、地力の増進に繋げます。

このように、耕うん作業は、作物を栽培するために必要な環境を整えるために必須の基本作業であり、耕うん=土づくりと言えるのです。

 

ハウスでは高付加価値の農産物を栽培するのが普通である。施設費に投資しているので、当然のことと言えるが、高付加価値の作物が少ないだけに他の作物と輪作を組むことが困難であり、多くの場合、連作障害、忌地現象を発現させてしまっている。そこで、土を入れ替えるのがよいと分かっていても、そう簡単ではない。良質の土壌を確保することも大変ならば、入れ替えの費用も少ないものではないからである。
 ハウスでは高付加価値の農産物を栽培するのが普通である。施設費に投資しているので、当然のことと言えるが、高付加価値の作物が少ないだけに他の作物と輪作を組むことが困難であり、多くの場合、連作障害、忌地現象を発現させてしまっている。

 そこで、土を入れ替えるのがよいと分かっていても、そう簡単ではない。良質の土壌を確保することも大変ならば、入れ替えの費用も少ないものではないからである。

 太陽熱を使い、ビニールフィルムで覆って表層を高温にして消毒する技術も開発されているが、これも充分ではない。期間もある程度長くしなければならないことから、作物によっては、その時間が待てないこともあり、総てこれに委ねることはできないのであろう。

 蒸気消毒が有効であることを理解しても、経費負担を強いられることからこれも容易に取組めるものではない。余程大きな施設に限られてしまう技術である。
そこで必然的に薬剤消毒に頼らざるを得ないのが現状である。薬剤を使うことはいろいろな面で弊害が出て論議の対象になる。費用負担の大きいのも問題である。最近ではこれまで使用されていた薬剤の製造中止も取り沙汰されており、かなり厳しい環境であると言える。
 

KAKEN — 蒸気消毒処理が土壌に及ぼす影響-特に臭化メチル処理代替法としての検討-

[目的]土壌燻蒸剤の臭化メチル剤がオゾン層破壊物質として2005年にその使用が全面禁止されるのに伴い、臭化メチル代替法や消毒後の肥沃度管理技術の開発・普及が必要とされている。本研究では、臭化メチル代替法として蒸気消毒法を取り上げ,同法の問題点であるアンモニア態窒素や可溶性マンガンの蓄積への対処法として,消毒後の土壌への堆肥施用の効果について検討した.
[方法]高知大学附属農場のビニルハウス内に蒸気消毒、臭化メチル剤(以下MB区)処理区及び対照区(CT区)を設け、トマトを栽培した。蒸気消毒区には,堆肥(牛糞堆肥)を消毒前に施用する区(SB区)と消毒後に施用する(SA区)を設けた。経時的に土壌を採取し,化学性および微生物性を調べた.
[結果と考察]1.消毒処理が土壌の微生物バイオマス量や硝化菌数,基質資化性から評価した微生物群集の多様性に及ぼす影響は,SB≒SA>MBであった.2.消毒処理により土壌中のアンモニア態窒素量が増加した(SB>SA>MB).3.蒸気消毒処理により,可溶性Mnが増加した(SB>SA).Mnの増加は,消毒により水溶性還元糖が増加することによると考えられた.4.堆肥を消毒後に施用することにより,1)硝化菌が土壌に付加され,蓄積していたアンモニア他意窒素は速やかに硝化された,2)土壌中の微生物群集の多様性が増大した,3)マンガン酸化菌が土壌に付加され,蓄積していた可溶性Mnが減少し,植物体中のMn含量も減少した.以上から,堆肥を消毒後に施用することは,消毒前に施用することに比べ,消毒による土壌中のアンモニア態窒素や可溶性Mnの増加を低く抑え,消毒後の土壌に硝化菌やMn酸化菌を付加する効果があることが分かった.また,消毒により低下した微生物群集の多様性を,増大させる可能性が示唆された.

 

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