非不胎化介入と日銀への外国為替市場介入の決定権限付与の可能性を考える

日本銀行における外国為替市場介入事務の概要 :日本銀行 Bank of Japan

 

ボックス記事 日銀ディーラーの日常

一般に為替ディーラーの朝は早いが、日銀ディーラーも例に洩れない。2時間(夏は1時間)先を行く豪州シドニー市場で朝の取引が峠を越す東京午前7時前、1日の仕事が始まる。朝一番の仕事は、毎朝恒例の市況会議に向けた情報の収集、整理、分析である。まずは前日の欧米市場の動きと相場材料を綿密に収集、次に当日の相場展開について、強弱それぞれの材料を洗い出すと共に、市場参加者の相場観を窺い、その日の相場展開を予想する。

収集する情報は、経済指標はもちろん、要人の発言、政治日程、休日情報、市場で囁かれる噂等々多岐に亘り、紙情報(新聞、FAX、雑誌等)、電子情報(情報端末、Eメール)、声情報(電話)などあらゆる媒体を活用する。情報量は膨大かつ玉石混淆なので、短い時間内に取捨選択、整理した上で、自分なりの考えを纏める必要がある。

朝の市況会議が終わっても、ほっとしている暇はない。最近は電子情報機器の発達で、全世界の情報がリアルタイムで誰でも容易に入手出来るようになり、情報収集作業の効率は格段に向上した反面、ちょっとしたニュースにも市場が一斉に反応するため、片時も気が抜けない。予想もしなかった材料で大きく振れることは珍しくない。マクロ経済理論に基づいた分析や、統計的な手法を駆使した時系列分析、歴史的考察から政治情勢分析、果ては占星術に至るまで、あらゆる側面からのチェックが求められる。

従って、日中も情報収集と分析が間断なく続くが、電話による民間の市場参加者との意見交換には、電子情報全盛の現在でも欠くことの出来ない意義がある。市場参加者の相場観は時として千差万別であるし、彼らのセンチメントの微妙な変化が次第に大きな流れを形成していくことも少なくない。こうした市場情報の読み取りには、やはり普段の対話が物を言う。さらに、外部との対話は、日本銀行の政策運営や関係者の発言等について、自ら正確な情報を提供し、誤解に基づく市場の反応を予防するという意味で、情報発信の観点からも重要である。

さて、ディーラーの動きが最も活発になるのは、やはり為替介入を実行する時であろう。日本銀行は、法律上、財務大臣の代理人として、円相場の安定を目的とした外国通貨の売買(つまり介入)を実行することと規定されている(外国為替資金特別会計法、日本銀行法等)が、ここ為替課がその実務部隊なのである。円の相場が大きく動いて経済への悪影響が懸念される状況になると、財務省との間のホットラインが鳴り響く。数名いるディーラーやそのバックアップ担当者が、慌ただしく配置に着き、ディーリング・ルーム内が緊張感で満たされる。そして介入が決定されると、チーフ・ディーラーの指示や確認の声、ディーラーの注文の声、電話の呼び鈴等でルーム内は喧騒に包まれる。

夕方も5時を過ぎると、為替取引の中心は欧州市場に移り、通常の場合、市場モニタリング業務は欧州と米国の駐在員事務所に引継がれ、ディーラーも早朝から続いた緊張感から漸く解放される。もっとも、相場が荒れている日は、東京市場と共に営業終了、という訳にも行かない。海外市場の民間ディーラーや、海外の中央銀行の為替担当者と連絡を取り、欧米の取引時間まで相場を追いかけることは珍しくない。そのうえ、海外の中央銀行に介入を委託するような場合には、日本銀行幹部が財務省と委託先中央銀行の間に入って連絡・調整を行うため、仕事は明け方に及ぶことになるからである。

 

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FRB,ECB,BOEは、介入の決定権限を持っている。

BOEは、金融政策目標のために必要な場合に限定。
一方、日本では
財務大臣が円相場の安定を実現するために用いる手段として位置付けられており、為替介入は財務大臣の権限において実施される。
BOJに決定権限はない。

が、これがBOJ に権限付与される可能性がある。と妄想している。

 

介入に必要な資金はすべて、財務省所管の「外国為替資金特別会計」(後述)の資金をもって充てられます。

ここをなんとかできれば。

2011年のFRB介入資金はニューヨーク連銀のシステム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)と財務省の為替安定化基金で折半された。

 

http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2010/review_20100916.pdf

ドル買介入の資金手配としては、国庫短期証券を対金融機関で発行し円を調達
その円を売買代金に充てて支払う
対価のドルはFRBにある本邦当局の外貨準備預金口座で受領する。

日本が円売りドル買い介入をするとその金額分ドルの準備預金が増額する。
「貿易黒字が増加すると外貨準備が増える」とあるが→
実際は為替介入があるから外貨準備が増加する。

 

過去の中国のような固定相場で経常黒字国の倍は、
莫大な経常黒字があるために、それとほぼ同額の外貨準備が毎日ふえていくことになる。
よって、中国の外貨準備は世界一になった。

 

不胎化介入 - Wikipedia

過去の中国のような固定相場で経常黒字国の倍は、
莫大な経常黒字があるために、それとほぼ同額の外貨準備が毎日ふえていくことになる。
よって、中国の外貨準備は世界一になった。

円売りドル買い介入では、日本銀行は金融機関に円を売ることになる。

介入による金融緩和効果を相殺したい場合は、日銀が同額をそのまま吸収するいわゆる売りオペを実行する。
そうでない場合は、そのまま放置する。これが非不胎化介入。

この円の増加は、一つの金融緩和である。
通常の金融緩和との違いは、通常の場合の対象が「国債」で、国債を通して金融機関に円を供給する。
対して、非不胎化介入の場合の対象は「通貨」。

 

うぃいきぺディアをみてみよう

 1999年3月までは全量を一旦日銀が引き受け市中に売却していく方式を採用していたため、市中金利より安い水準で約定される政府短期証券(FB)はほぼ全額を日本銀行が直接引き受けていた。ここで政府短期証券発行後に為替介入すると、FBが償還をむかえ財務当局が当該FBを償還するためにあらたな国債を市中で発行するまでは(あるいは日銀が市中にFBをスワップする形で売却してゆく各種国債の売りオペレーションが実施されるまでは)、マネタリーベースが市中の均衡とは無関係に単純増加される(円が供給される)こととなっていた。

この円の単純供給は理論上通貨インフレの要因であり、インフレが懸念材料であった時期にはこの円の単純供給分を吸収する目的で不胎化(インフレを「妊娠(胎化)」させないための)日銀による別種の短期国債売りオペレーションが実施されていた。これが不胎化介入である。2000年4月から政府短期証券は市中で完全入札により円を調達することになり、市中シンジケートの入札により決められた金利で裁ききれなかった分量のFBを日銀が引き受ける方式に変更された。

 

介入権限を日銀に付与し、それを日銀が実行するとなるとおそらくいったんは日銀が一旦そのまま政府短期証券を引き受けるかたちになるはず。でも政府短期証券を発行する権限もないとだめなような気がする。外貨を買うという目的で。いや、そんなことになるわけがない。

 

https://www.komazawa-u.ac.jp/~kumakura/teaching/IM/IM_07.pdf

中央銀行が自己資金で為替介入を行っている国では、外貨準備も中銀のバランス・シート上で管理されていることが多い。このタイプの国において為替介入が実施されると、中銀のバランス・シート上で外貨準備(資産)と準備預金(負債)が変動する。準備預金はベースマネー(マネタリー・ベース)の一部なので、そのままでは市場金利マネーサプライマネーストック)が変化してしまう。

 

なるほど。仮に日銀に介入決定権限が付与された場合、かつそれを不胎化で行う場合は、量的緩和にあたるのか。

外貨買。米ドルが対象だろうが。

懸念はやりすぎると民間部門でドル不足が発生することぐらいか。

これと中国との間で通貨スワップ協定を結ぶことは可能なのか。

通貨スワップ協定 - Wikipedia

もしそんなことが起こったら、ジョージソロスはじめ投機筋は撃沈するのだろうか。

 

国際的な合意は得られるか?

中国では、急激な為替調整を避けたい人民銀行がある一方で、外貨準備の制約が意識されている。

米国では、FEDが金融引き締め、正常化引き上げをスムーズに行いたい思惑がありながら、実際には行いづらい状況においこれまれている。

 

この環境下で、金融政策の一環として非不胎化介入を機動的に行える権限を日銀に付与し実行することは、国際的にも合意が得られやすいのではないか。

 

 

 

おまけ

日本銀行における外国為替市場介入事務の概要 :日本銀行 Bank of Japan

外為会計は、これまでの円高局面での外貨買い・円売り介入の累積等から高水準の外貨資金を保有しています。こうした外貨資金は、財務大臣によって、流動性・安全性等に最大限留意しつつ運用が行われているところであり、その大宗は流動性等に問題のない主要先進国債券に運用されています。

 

日銀がバランスシートでドル買いした場合、そのドルは米国債で運用されるのか?

そうであれば、日銀が外債を買うということになる。。。。