Strategy No.1 Global_Macro_Arbitrage

【戦略の内容】

市場ファンダメンタル等から観測される妥当水準から、一時的・継続的に大きく乖離したプライスが修正する動きを収益化する。乖離した背景と修正開始のイベントトリガーを前もって推定し、短期トレンドフォローでマーケットINする。タイミングに気をつける。

 

 今回は、AH Premium Short.

上海のA株もしくは大陸株指数に連動する商品をショート、

香港、ハンセン指数に連動する商品をロング。

 

【対象銘柄】

ショート対象プロダクトとしては、SGXのFTSE/China 50 futures, NYSE上場のFXIなどが挙げられますが、選択肢はあまり多くないと思います。

ベンチマーク指数は、FTSE/中国50、CSI300指数、上海A株。

ロング対象プロダクトは豊富にあります。NYSE上場のMSCIチャイナETF、香港のハンセン指数先物など。

 

上海と深センのA株総合指数であるCSI300が、大陸のベンチマークとしては最も妥当で先物市場も売買されてますが、海外投資家としてはあまり使い勝手が良くないように思います。以前、CSI300の先物が上場されたときウォッチしてましたが、理論値との乖離がすごかった印象がありますが、いまではどうなんでしょう?

よって、ある程度流動性もある市場での、モデルポートフォリオは、SGX先物ショート香港先物ロングだと思います。

 

【戦略の意図】

現在、A株がH株に対して割高な状態にあります。その割高水準が訂正するその動きを収益化することを目的とします。

 

 

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AHプレミアムとは、上海と香港に重複上場している銘柄のディスカウントプレミアムを加重平均したもの。

指数で30%A株が割高ということは、個別銘柄ではもっと極端なものがあるということです。

たとえば、China Railway Construction(00186.HK)は、香港市場で9.88HKDで取引されながら、上海では14.87CNYであり、50%弱の乖離が生じています。

 

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あとで追記予定

 

【収益機会が生じた背景】 

それでは、なぜ今回このような乖離が生じたのでしょうか。

スプレッドに乖離やトレンドが生じる場合は、どちらかの投資対象に原因があることが多いように思います。

(トレンドの最終局面などではスプレッドトレーダーのロスカットが加速させるということもあるように思いますが)

今回はA株(大陸株)の過熱感が原因であると思います。

 

WSJによると、

中国人のお金持ちは、規制を嫌って中国外に在住していてあまり中国本土へお金を持ち込みたくないらしいですが

、投資対象としての中国本土には興味があるようです。これまでは、NYや香港などに上場されている中国株にエクスポージャーを持っていましたが、上海香港での相互取引が可能となったことで、規制のない香港口座から中国本土への投資が可能になったため、エクスポージャーを本土へ移しているとのことです。

わからんでもないですが、割高なところに持っていくというのはやっぱりどこかおかしい思わざるを得ません。


中国の海外投資マネー、国内回帰の動き 上海市場の高騰受け - WSJ

 

上記に加え、大陸投資家の信用取引が過大になったことが大きいと思います。

利乗せ倍増買い上がりというやつでしょうか。

以前、東京商品取引所金先物市場において、ものすごいベーシス乖離が生じたことがあります。

それも原因は、個人投資家の買い上がりでした。ブローカーが手数料欲しさに倍増プッシュしたことが原因でした。某大手商社の巨大なアービトラージ部隊でも太刀打ちできませんでした。最終的には、臨時増し証拠金という規制が入ったことで、翌日から急落し、1か月後には元サヤに落ち着きましたが、あれはすごかったです。機会があればまとめたいと思います。

 

【修正のトリガー】 

中国本土株式市場における信用規制が修正のトリガーになると思います。

下記は、米中台の市場規模に対する信用取引比率。

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以下、引用
Chinese brokers punished over margin trading
http://www.scmp.com/business/money/markets-investing/article/1680988/chinese-brokers-punished-over-margin-trading?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter


On the Shanghai Stock Exchange alone, outstanding borrowing for margin trading has reached 767 billion yuan (HK$960.5 billion), more than double the 284 billion yuan at the end of July, according to data released by the bourse.
….
]The CSRC, concerned about a possible boom-bust cycle, late last year warned investors not to chase irrational rallies. It also launched investigations into the margin trading businesses of 45 brokerages between December 15 and 28.

Investors borrowing for margin trading are charged an annual interest of 8.6 per cent.

Mainland brokerages, in order to vie for a bigger share of margin trading businesses, are stepping up efforts to raise fresh funds.

 

信用取引用に8.6%で飛ぶようにお金を貸付できるということで、大手証券会社を筆頭にマージン取引ビジネスに注力し、本土の規制当局のワーニングも無視し続けたようです。

 


Chinese brokers punished over margin trading | South China Morning Post

 

 

今回、新たな信用口座開設規制ということで、AHプレミアムの修正が促されるトリガーとなるのかが注目されます。


China bars three brokerages from opening new margin trading accounts | Reuters

 

 

 

その他リンク


The Inefficiency of China’s ‘A Shares’ in a Chart - Focus on Funds - Barrons.com

 


Can Shanghai Rally Continue? - Asia Stocks to Watch - Barrons.com